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CWS創作学校

創作入門コース

STEP1 テキスト1

受講生名:Y.E.

第1問 (1)選択した単語 公園

第2問 (2)男の子 夜 友情
30歳直前、仕事もうまくいかず彼女にも振られた僕は(3)夜の動物園に忍び込んだ。意外なことに先客がいた。(4)少年だった。彼のほうが圧倒的に年下だがここでは先輩だ。その後もたびたび侵入し、(5)少年と話すうちに少しずつ元気をもらう。20歳離れた男同士の友情物語。

第3問 (6)男の子 夜 友情 留置所
30歳直前、仕事もうまくいかず彼女にも振られた僕は、深夜の動物園に忍び込んだ。意外なことに先客がいた。少年だった。彼のほうが圧倒的に年下だがここでは先輩だ。(7)少年は留置所で生まれた。動物園の檻に幼いころ過ごした留置所のような安らぎを感じる。20歳離れた男同士の友情物語。

添削講師名:K.M.

【総評】

 はじめまして。それでは早速、第1回の添削をはじめましょう。

 まず、テキストの補足的なことを言いますと、

(中略)

 それでは第1問から見ていきましょう。

(1)Yさんは4つの中から「公園」を選ばれました。じつは、

(中略)

(2)第2問です。Yさんが選ばれた「男の子」「夜」「友情」の3つの言葉はそれぞれとても近い印象を受けました。「男の子」と「夜」は〝冒険〟を、「男の子」と「友情」は〝成長物語〟といったテーマを安易に呼び寄せてしまいがちです。実際、今作はその範囲内に収まるストーリーでした。テキストにもあるように、書き手自身の想像力を超えるためにも、多少無理があるくらいの飛躍がある3つの言葉を選んだほうが練習になったでしょう。ぜひ、言葉選びの段階で――たとえば「夜」をやめて「質草」にするなど――脈絡がなさそうなものをあえて選択してみてください。そして、「質草」をこのストーリーに鮮やかに導入できたとしたら、それはYさんしか書けないストーリーに変身するはずです。

(3)夜の動物園という舞台設定は意外性があるようでじつはそれほど珍しくありません。この設定はわりと多くの受講生の方が書いてこられるものだったということは事実としてお伝えしておきます(「夜」と「遊園地」を組み合わせる方も多いですね)。ちょっとした神秘やロマンチック、あるいは不穏さを演出するのに夜の動物園/遊園地というのは多くの人の頭に思い浮かぶ要素のようです。

(4)この少年の存在は読み手の興味を引きますね! 少年はどうやって動物園に入ってきたの? いつから? なぜいるの? 今回のあらすじでは詳細は分かりませんが、ぜひ彼についてご自身で練ってみてください。そして、作品にする場合はどこまで彼の素性を明らかにするのか/しないのかについても考えてみてください。

(5)「ストーリー」を先んじて用意し、「何を書くか」を決めてしまってから、次に「どう書くか」という重要な問題について思いをめぐらせてもらうというのが第2問の課題の出題意図でした。「年の離れた友情物語」という、どこかで読んだようなありふれた話も細かく描いていくことで魅力を持たせられるのが「小説」の特質ではあります。ですが、なるべくなら前段階のうちにもっと特徴のあるものにしておくと後の展開が楽になるはずです。

(6)第3問で「過去」を導入してもらった意図は、

(中略)

(7)なるほど、少年にはそういう過去があったのですね。4つ目のお題「留置所」を、主人公「僕」の過去ではなく少年の過去としたのは工夫が感じられました。

また、「留置所」という言葉は、どうしてもその〝場所〟じたいから連想してお話を作られる方が多いです。Yさんは場所そのものに加えて、お題に広がりを持たせるため比喩的にとらえて第2問のあらすじに組み込む工夫をされていました。そのため、(6)でお伝えした第3問の意図が、

(中略)

では次回からは、実際にそうした肉付けのための練習をしていきましょう。

★実際の添削は、主に、A4横置き、縦書きでお届けしています。詳しくはeラーニング操作方法をご覧ください